2008年09月16日

太宰治「女生徒」

朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。


 朝は、なんだか、しらじらしい。悲しいことが、たくさんたくさん胸に浮かんで、やりきれない。いやだ。いやだ。朝の私は一ばん醜い。両方の脚が、くたくたに疲れて、そうして、もう、何もしたくない。熟睡していないせいかしら。朝は健康だなんて、あれは嘘。朝は灰色。いつもいつも同じ。一ばん虚無だ。朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。いろいろ醜い後悔ばっかり、いちどに、どっとかたまって胸をふさぎ、身悶えしちゃう。
[初出]『文学界』昭14年4月号

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posted by 北田信 at 22:19| 女生徒 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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